マザコンなのか?それとも「ルールがグズグズ」なのか?
「私に内緒で、夫が自分の両親へ金銭援助をしている事実が発覚したんです。高校受験を控える娘もいるのに……。気づいたときはすでに100万円を超える援助をしていました」
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ため息を漏らしながら語るのは地方在住の田中ひとみさん(仮名・46歳)だ。
話によると、夫が定年退職後の両親から金銭援助を申し出られ、妻に内緒で数年にわたり送金していたようだ。
危機管理コンサルタントの平塚俊樹氏は言う。
「老後の不安といえば、お金と健康面でしょう。老後に必要なお金は2,000万円と言われていますが、各家庭によってその状況はまちまちです。
70代になって働けない両親を想い援助をしている家庭は一定数います。加えて『老後は子ども達が面倒を見てくれるはず』と考えている親世代も、実は少なくないのが現状です」
今回は義両親への金銭援助でストレスを抱えている主婦の苦悩について、詳しくリポートしていきたい。
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田中家が住むマンションと義実家は同県で、車で30分ほどの距離にある。
子どもが小さい頃は月に一度、義実家へ行っていたようだ。義両親は二人の娘達をとても可愛がってくれた。しかし、結婚当初からひとみさんは義家族に対してお金絡みに関する疑問を抱いていたようだ。
「お義母さんは、なにかとお金のことを気にする人でした。子どもの自転車や新しいおもちゃを購入するとなにかと『いくらしたの?』と言ったり給料の話を詳しく聞いてきたり。
私とはお金に関する価値観が違うかもと感じていました。お義父さんは定年まで会社員、お義母さんは65歳まで短時間パートをしていて、年金をもらって慎ましく暮らしていると思っていたんですが……」
夫が義両親へ金銭援助していることが発覚したのは、彼名義の通帳を見たのがきっかけだそう。
もともと夫婦別財布で生活に必要なお金はその都度出し合っていた夫婦。
ひとみさんは看護師のため年収は450万円程度だ。娘達が大きくなったため夜勤も出勤するようになり、これから膨大にかかる教育費に備えて貯蓄に励んでいたようだ。
教育資金や昨今の物価高により、夫婦別財布から共通にしようと打診。物欲がない夫はすんなりOKし、彼名義の銀行通帳やカードの整理をしているときだった。
「夫はマメな性格で、こまめに記帳するタイプ。これから家計を見直そうと思い、夫の通帳を遡ってみると3か月に一度、5万円を義両親へ振り込んでいることがわかったんです。まさか義両親からお金を借りてる……?私が知らない借金でもあるのかと不安になり、仕事から帰ってきた夫を問い詰めました」
すると夫は言いづらそうに答えた。
「母さんたち年金暮らしだろ?父さんの退職金も少なかったし、生活費が足りないぶんを送金していた。70代の高齢者が働きに出られないし、何年前から援助してた」
借金があるわけでなく、正直に話してくれたことについては安心したが、どうにも腑に落ちないひとみさんだった。
夫の年収は700万円程度。ひとみさんは看護師で、現在は夜勤も担っているため家計は回っているのだ。これから教育費がかかる娘達を想うなら相談くらいしてくれてもよいのではないかと苛立ちを覚える。家計から捻出しているのに、義両親からひとみさんへ感謝の言葉がないのも引っかかっていたのだ。
それに加え、夫のボーナス時には15万円を送金していることが発覚した。
さすがに援助しすぎではないかと感じた彼女は「これから援助はしないって伝えて」と夫へ告げる。彼は曇った表情をしながら「父さんたち、貯金が全くないらしいんだ」と話す。